建設業許可を取得することによるデメリットについて

お世話になります。行政書士の加藤祐基です。
前回のコラムでは、建設業許可を取得するメリットについて紹介しました。
許可を取得することで、大規模な工事を請け負えるようになり、社会的信用も向上するため、一見すると良いことばかりに感じられるかもしれません。
しかし、建設業許可にはデメリットもあります。今回は、建設業許可を取得することによるデメリットについて紹介します。

手続き面や費用の負担が増える

建設業を取得した場合、毎年決算日より4カ月以内に前年度の工事実績、財務諸表、納税証明書等を添付した決算変更届(決算年度終了届)を提出する義務が生じます。
許可に係る建設業者は、毎事業年度終了の時における第6条第1項第1号及び第2号に掲げる書類その他国土交通省令で定める書類を、毎事業年度経過後4月以内に、国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。(建設業法第11条2項)
たとえば、3月決算の事業者であれば、7月末までに決算変更届を提出しなければなりません。
また、役員の変更、商号や営業所所在地の変更などがあった場合も、変更届を30日以内に提出しなければなりません。
許可に係る建設業者は、重要な事項に変更があった際、30日以内に国土交通大臣または都道府県知事に変更届を提出しなければならない。(建設業法第11条第1項)
建設業許可を取得していない事業者には、こうした義務はありません。日々の業務で忙しい中、このような書類提出の手続きが上乗せされ、業務負担が増す可能性があります。
さらに、建設業許可の有効期限は5年であり、更新手続きを行わなければなりません。更新時には、新規申請と同程度の書類が必要となり、更新手数料として5万円も発生します。
このため、書類作成や費用の面で負担がかかります。

財産状況の開示

建設業許可を取得した場合、毎年提出する決算変更届には、前年度に完了した工事経歴や財務諸表が含まれ、これらの書類は閲覧可能な状態になります。
つまり、誰でも希望すればその情報を閲覧できるのです。財務状況を公にしたくない事業者にとって、これはデメリットといえるでしょう。

契約締結できる営業所が限定される

あまり知られていないデメリットですが、建設業許可を取得すると、契約締結ができる営業所が限定されることがあります。
建設業許可申請では、専任技術者を各営業所に常駐させる必要があり、その営業所でのみ契約を結ぶことが可能です。
つまり、専任技術者がいない営業所では契約を締結することができなくなります。
許可を取得していない事業者は、500万円未満の軽微な工事であれば許可なしで自由に契約が可能であり、営業所に関する制限もありません。
しかし、許可を取得することで、軽微な工事であっても、専任技術者が常駐していない営業所では契約ができなくなり、結果として、これまで対応できていた工事案件の契約が扱えなくなる場合が出てくる可能性があります。

建設業に携わる行政書士として

行政書士としては、相談者が建設業許可を取得したいという要望を単純に受け入れるのではなく、本当にその事業者にとって許可取得が必要かどうかを慎重に考えることが重要です。
たとえば、これまで請け負ってきた工事の金額が500万円未満であり、今後も大規模な工事を予定していない場合、許可を取得する必要はそれほど大きくないかもしれません。
許可を取得する際は、今回紹介したデメリットを十分に説明し、事業者が納得した上で進めることが重要です。
そうすることで、後々のトラブルを未然に防ぐことができるといえます。
相談者にとって最適な方向性を一緒に考え、サポートできるよう心がけていきたいと思います。